2011-05-27

NIKKEI Archives<Italian-American>.

<イタリアが注目する、日本生まれのアメカジ>
『イタリアに吹き荒れるアメカジ旋風』

 
ユナイテッドアローズのバイヤーで、親友でもある小木基史くんは欧州の出張から帰る度に「イタリアでは今、“アメカジ”が熱い」と語る。確かにここ数年、シーズンを重ねるごとに、イタリアファッションのアメリカン・カジュアル化の進行が勢いを増している。
 目もとにはウエリントンやアビエーターといった直球の米国的アイウエア、そしてジャケット×パンツにネルシャツやダンガリーを合わせ、さらに足元はエンジニアブーツやリングブーツ……。そんなイタリア人のコーディネイトを頻繁に見かけるようになってきた。イタリアブランド全体が、製品洗いや染色の施されたウールやコットンのウェア開発、デニムアイテムの加工に力を入れていて、ヴィンテージ風のアウターやダメージジーンズの商品展開が、ここ数シーズンとにかく目立っている。そんなイタリアのメンズファッションの雰囲気を喩えるなら、“マカロニ・アメカジ”と言えるだろうか。
 昔からイタリア人のアメリカ文化への傾倒は、どの国にもまして強い。ファッションは無論、映画や音楽、そして近頃ではクルマのカスタムまでもアメリカの影響を受けていると聞く。イタリア男が理想とする男性像というのは、まさにタフネスでワイルド。ゆえにアメカジに惹かれるのだろう。ただ、今回意外な発見があった。
 先日、イタリアの高級既製服ブランドの若手で、企画チームのルカを連れて東京の街をアテンドする機会があった。流石はクラシックなイタリアンスタイルを生み出す老舗の担い手。仕立てのよいネイビーのストライプスーツに、ラルフローレンのリングベルトとパネライをつけ、まだ20代中盤ながらクラシックなスーツスタイルを上手に遊んでいる。こうして見ると彼の小物も、またアメリカンテイストの盛り込みが多い。
「原宿にあるヴィンテージストリートに行きたい」と言うので案内したのが、世界的にも有名な裏原宿のアメリカンヴィンテージ通り。こんな通りはイタリアに限らず、世界にまず存在しない。だから惹かれるのだろうが、人気の古着店が軒を連ねる原宿の通称“とんちゃん通り”へと出向いた。
 伝統的なナポレオンジャケットに、ユーズドのミリタリーシャツやウェスタンシャツ、チルデンセーターに興味津々のルカ。正直、ひと昔前のイタリア人のカジュアルは、目を覆いたくなるほどダサかった。スーツスタイルはバッチリなのに、ことカジュアルとなると、どうもイモ臭い。でも裏原宿でヴィンテージを物色するルカを見て、イタリアのカジュアルが確実に変わってきたことを実感する。
 こうしてルカのような若い世代が牽引する、イタリアのメンズファッション。日本人が意識するアメリカン・カジュアルとはまた違った解釈のデザインだったり、コーディネイトだったりするのが、個人的には気に入っている。個々のアイテムも焼き直しやレプリカと違い、洗練されていてモダンで非常にかっこいい、とも思う。

 ところが。聞けばイタリアのデザイナーが注目するアメカジは、どうやら本国発信のそれではなく、なんと日本のアメカジだという。今回はそんなイタリア的なアメカジスタイルをコーディネイトしてみたが、「日本のメンズファッション誌のスナップやカタログを参考にしている」……そんな事実を小木くんから聞き、誇らしくもあり、不思議な気分になった。

ウールピークドラペルジャケット(マージャーズ)、フランネルシャツ(ブォンジョルノ)、ウールヘリンボーンパンツ(ヴィガーノ)、ニットタイ(ブルー&ブラウン)、カーフレザーリングブーツ[YAGO](タニノ・クリスチー)、アイウエア(イタリアインディペンデント)、ニットカーディガン(ヴィンテージ55)

Posted by  onodahitoshi

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