2011-05-28

NIKKEI Archives<Italian-classico>.

<現代的にハズシを効かせた引き算で、モードなドレススタイルを気取る>
『モードに着る本格派クラシコ』
 
欧州のメンズファッションのシーンは、ドレスやフォーマルなどクラシックスタイルを基礎とするクロージングブランドと、ミラノやパリのコレクションでモダンなスタイルを発表し続けるモードブランドの境がないから面白い。イタリアのファッションマガジン「ウォモ・ヴォーグ」のファッションページでは、イタリアンクラシックも、フレンチモードも、きちんとルールに乗っ取った上でミックスされ、ポートレートの構図やロケーションの雰囲気を通じて、それが“モード”として世界に発信される。
 ここで言うモードとは、コレクションのランウェイを飾るハイブランドの新作服ではなく、着る人やシチュエーションに見合った一番シンプルなドレススタイルを意味する。永遠のモード“シャネルスタイル”を確立したココ・シャネルの口癖は、「とにかく削って、削って、削ること」。「モードとはシンプルなものであって、極端にシンプルでなくてはならない」とも語っている。
 またキートンやアットリーニといった、いわゆるクラシコスーツを扱うフィレンツェの名店「タイ・ユア・タイ」の創始者、フランコ・ミヌッチも、ハットにカフリンクスにポケットチーフを盛り込むようなtoo muchなドレスアップ感覚を嫌う。抜きやハズシを利かせるなど、ココ・シャネル同様に極力シンプルに飾ることを提案。氏自身もポケットチーフが必要ならば、芯ナシのタイを胸ポケットに挿すなど、要領よくさらりと洒落る。
 そんなシャネルやミヌッチのルールを現代的に解釈し、今の日本にふさわしいモードなドレススタイルをコーディネイトしてみた。ダークネイビーのスーツにTシャツ、バルモラル(内羽根靴)だけの極々あっさりしたスタイリング。少ないアイテムで構成したナチュラルなコーディネイトがテーマだ。

 キートンのチロ・パオーネのネームが入った仕立てのいいクラシコスーツに、フランスの名門ジュエラー、ショーメのアクセサリーを纏い、レースのポケットチーフや内羽根の短靴を合わせた。イタリアンクラシックと相性のいいフレンチモードなテイストを、ハズシとして味方にしているのがポイントだ。
 年齢に沿わない流行ばかりを意識したり、ただ闇雲にハイブランドを着たりするのがモードだと胸を張るなんて、まさに“裸の王様”。大人の男に相応しいファッションとは言えない。いたずらにブランドを頼るのではなく、ハズシを効かせた引き算というモードの定義を頭の片隅に置きつつ、シンプルな大人のスタイルを探してほしい。

トロピカルウールシャドウチェック段返り3ボタンスーツ[チロ・パオーネ]、コットンロングホーズ(ともにタイ・ユア・タイ) スイスコットンTシャツ、天然ゴム×レーヨンメッシュベルト(ともにシャルベ) ベビーカーフバルモラルシューズ[PATAMOS](タニノ・クリスチー) 胸ポケットに挿したシルクレースポケットチーフ(クルチアーニ)

Posted by  onodahitoshi

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