2011-05-28

NIKKEI Archives<Rude>.

<胸元をさらすよりも何倍もの色気、ルード・スタイルで不良感を>
『ルードなブリティッシュ・スタイル』

「London in the 1960’s」。
 先日、フォトグラファーのエディ・スリマンに好きな年代を訊いたところ、こう返ってきた。60年代の英国といえばスィンギング・ロンドン、モッズ全盛の時代だ。アウトサイダー・ファッションの魅力を知る、彼らしい答えが嬉しい。
 全身タトゥのバッドガール、歌手のエイミー・ワインハウスがディーバとして注目を集め、俳優のダニエル・クレイグが演じる野性味溢れる若き日のジェームズ・ボンドの人気が高まる。英国の不良が熱い、現在(いま)。エディの言葉が、次なる流行の目線を、RUDE(ルード)なモッズ・ファッションへと走らせる。
 俗な表現である「ルード」は、「チンピラ」といった意味で、スカや2トーンといった音楽ジャンルの走りとなった大衆的若者文化。モッズの不良感覚を象徴する言葉だ。同じ不良でも、米国のYANKEE(ヤンキー)とは違う。
 モッズは深夜のナイトクラブに屯(たむろ)して、カスタム・スクーターでロンドンの街を流し、時にはギャングのように抗争も起こした。しかし、彼ら無法者たちの最大の魅力は、頭の先から足の先まで行き届いた、完璧な服装力にあった。スーツや靴をすべて注文で誂(あつら)え、英国人らしい紳士然とした装いを徹底する。仕立てる生地からシルエットライン、そして立ち振る舞いや仕草まで、全てに隙なく気を配り、そして自己陶酔に浸った。
 そんなルードなスタイル、つまりモッズの原点は、音楽的影響のあるジャマイカではなく、甘い伊達男たちの50年代イタリアン・ルックにある。そこから西欧のフェティシズムの影響を受けた英国のダンディズムへと進化していった。

 モテるためにワルを気取る。「ちょいワル」がファッションとして定番化する昨今、不良感を漂わせる英国の「レベル・スタイル」は仕立て・仕様への配慮が行き届いた深い内容の装いに映る。イタリアンモダンの香り漂う正統派の英国調は、胸元をさらすよりも何倍もの色気を発揮し、身の丈にあった不良感を醸(かも)す。今それを表現できる人物は、ゴシップ紙の一面を飾ることも多い英王室のヘンリー王子か。彼なら、このルードなスタイルを上手く着こなせるだろう。

ウール×シルク2ボタンストライプジャケット(ラファエル・カルーゾ) コットン×リネンワイドスプレッドカラーシャツ(バグッタ サルトリア ミラネーゼ) シルクアスコットタイ“BENJAMIN”(ジョン スメドレー) スーパー100’sウールノータックパンツ(PT01) ミュージアムカーフサイドゴアブーツ“TUDOR”(ジョン ロブ) 脇に置いたアンブレラ“SILVER APRON”(フォックス・アンブレラ)

Posted by  onodahitoshi

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