2011-05-28

NIKKEI Archives<Conservative>.

<日本のファッションシーンも見習いたい、“攻め”のコンサバスタイル>
『個性を主張とする、理想のコンサバスタイル』

 
いまコンサバが面白い。日本のメンズファッションでいうコンサバティブとは、スーチングはもちろん、ジャケットやブルソンとシャツ&パンツを合わせたコーディネイト、いわゆる“ジャケパン”のようなベーシックなコーディネイトを指す。色目はグレー、ネイビー、ベージュが基調。単体では、服にしても装飾小物にしてもシンプルな仕様となり、とにかく簡素なデザインを合わせるのが基本。控えめが良しとされる。
 今、コンサバのトレンドを意識したのは、とあるフォトグラファーのファッションサイトを見た時だ。スコット・シューマン主宰の『ザ・サルトリアリスト』。ニューヨークを中心にミラノ、パリなどの街角で、彼が撮影した多くの洒落人たちのバラエティに富んだスタイルを公開しているサイトだ。ただ、スコット自身による各国の老若男女のスナップに、浮世離れしたアヴァンギャルドなスタイルは皆無。男はコンサバ、女はモードと、現実から外れない、リアルなスタイルだけに焦点が絞られている。
 リアルなスタイルにこだわるその編集目線に共感を覚え、このサイトを欠かさずチェックするようになったが、ニューヨークの5番街でも、フィレンツェで開かれるピッティ・ウォモの展示会でも、パリコレの会場でも、世界のどのスナップを見ても、コンサバ派が圧倒的多数を占めることがわかった。
 それらから知るのはコンサバティブの奥深さ。原色同士の計算外の“濃ゆい”色合わせや、装飾感の強い癖のある靴や小物の普段使い。ひと目でそれとわかるブランドのシンボルや柄の使い方など。保守的過ぎる日本のコンサバシーンも見習いたい、“攻め”とも取れる大胆なファッションテクニックが目に付く。それを何の衒(てら)いもなくサラリとこなす、個性溢れる洒落人たちの様は、コーディネイトの参考になる。
 彼らはドレスアップに重きを置く。色や柄の組み合わせでは感覚だけを頼り、クラシックなデザインに今日的なシルエットを合わせることに何のためらいもない。それをイメージして、攻めのコンサバをスタイリングしてみた。

 大抵の人が苦手意識を覚えるダブルブレステッド、しかもイタリアンクラシコな白のダブルに裾にかけて極端につぼまるテーパードのかかったモダンなスリムシルエットのパンツ、そこに房飾りであるタッセルとストラップの多要素のスリップオンを合わせる。
 味付けには、ビビッドな赤のコート、黄色のチーフにオレンジのホーズ、締めのウエストマークにはジュエラーのアイコンが光るバックルベルトを持ってきた。通り一遍のジャケパンスタイルを、超個性的でスタイリッシュなスタイルへと大きく発展させてみた。
 控えることがコンサバか。確かに、流行に左右されないのがコンサバの本質だ。しかし、それはいつの時代も受け入れられることが前提であって、決して主張をしてはいけないという意味ではない。そう『ザ・サルトリアリスト』は教えてくれたのだ。
 日本のファッションシーンで最も支持を集めるスタイル。だからこそ、十人十色、いや百人百色のコンサバスタイルが存在する。ならば、そんなコンサバには“控える”のではなく、個性の“盛り”というスパイスが必要じゃないかと思う。

ジャケット(ルイジ ボレッリ) シャツ(キートン) パンツ(ヴィガーノ) シューズ(マックス・ヴェッレ) ポケットチーフ(ブリューワー) ロングホーズ(ガロ)

Posted by  onodahitoshi

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