2013-10-29

Milan Classico.

 

 

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バルスターのようなアイコニックなアイテムが、今、非常に面白い。

トレンドとは一線を画すが、定番(スタンダード)がトレンドといえば、あながち的を外してはいない。

ただ、これをモダンに着なくては何も面白くはない。

 

シニアからコンサバ層においてのストレートな定番。

教条本ではサイズ感で特集が組まれるほどの、絶対的エースたる定番。

それだけに、それをツイストして着ることで得られる、新たな発見も多い。

 

 

例えば、トムフォードのバルスタータイプ。

ブリオーニ辺りでも最近常套としてみられる、あえて同色のインナーを挿すなどルックのような、モードなコードで落とし込みのされたスタイリングにも強く惹かれる。塩梅のいいツイストとはまさにこんなムードである。

しかし、こうしてみると、グリーンやレッドなど抜群に発色がよく、ゴートスエードの色入りのよさに改めて驚く。

 

 

 

 

 

Posted by  onodahitoshi

2013-10-29

Classico×Authentic.

 

 

世代やジャンル、いわゆる横軸によって異なる定番。

この定番を、単体的にみて、ただオーセンティックとして古臭く捉えたり、また新し過ぎて毛嫌いしてしまったりすることにつまらなさを覚える。

例えば世の中のメンズファッション誌の定番や常套テクニックを、すべて並列に組み合わせてみたら、どんなに面白いだろうか。

アットリーニのスポーツコートにリーベンデールマウンテンワークスのバックパック。

タンブラー済みのフライのブロードシャツにステューシーのUS製イージーパンツ。

サンローランのスキニーデニムに黒スエードのエドワードグリーン。

と、勝手な妄想が膨らむ。

そんなスタイルの理想は、やはり、先日も服好きの知り合いの方とも話した「アニエリが着るブルックスのポロカラーシャツ」。

国籍やジャンルの違う定番を組み合わせることで生まれる、新たな化学変化。

そして、そのツイストした感じが非常に面白くて、自然とここ数年のスタイルの幹となっているのもまた事実。

最近だと、例えば、バルスタリーノにヴァンズのキャバレロスリッポン。

バルスタリーノのよさを知る大人は、まずスリッポンでもヴァンズ、しかも龍の刺繍入りのキャバレロなんてまず合わせることはないだろう。

でも、キャバレロもいいし、バルスタリーノもいい。共に熱くなれる横軸での定番。

ファッションの奥はまだまだ深い。

Posted by  onodahitoshi

2013-10-29

Art of Leather.

「紡ぐ、編む、縫うといった“いとへん”の業だけで、ファッションとしての感動を与え辛い時代になってきた」。

これは先頃、お会いしたある大手アパレルグループ会社の代表の言葉。『今のファッションビジネスのマーケットについて』の率直な感想だ。

「では、布地ではなく、皮革ならばどうなのか」。

内心、揚げ足取りのようにも聞こえるが、子供じみた理屈が思わず脳裏にと浮ぶ。そんなタイムリーなエピソードとも重なって、この<ミルザッカ二アン>というレザーブランドを非常に面白く思えた自分。

<ミルザッカニアン>。

ピュアウォータークロコダイル、いわゆるシャムワニのレザーを贅沢に用いたレザーブランド。

ラゲージのコレクションを中心に展開し、実際、そこまで点数は多くはないものの、ジュエリー並みの、ほぼ3ケタ台の上代価格を聞けば、だれしもオーダーメイドのような印象を覚える。が、イタリア出身のデザイナーが手掛ける、歴としたプレタ(既製)のレーベルである。

デザイナーは、上質な皮革であるクロコの節の並びや間隔を、まるで紋様や柄として捉えて、シリアスで荘厳な意匠を誕生させる。

とくに、資材を選ぶ段階から、腹の部分の竹節のバランスや流れなどシビアに見極め、洗練された美意識の投影に抜かりはない。そうして生まれたコレクションは、繊細でエレガンスといった雰囲気のものともまた違う。漂うのは、爬虫類ならではの、ある種の艶美な雰囲気と強さ。

多少、キドいが、それはそれで個人的にも決して嫌いではない。

デザイナーは、イタリア・ヴェニス出身で、ミラノでアートディーラーとしてキャリアを奮ったエミール・ミルザッカニアン。

現在はバンコクにアトリエを構え、ミランクラシコの雄、カラチェニのビスポークを衒(てら)いもなくまとう男は、元々はメトロポリタン美術館などを相手にしていたという名うてのアートディーラーであった。当時、男の扱う超一級の品の中には、国宝級の至宝から誰もが知る歴史的価値の高い骨董までもあったらしく、今も自宅のあるイタリア屈指の超一等地ヴィア モンテナポレオーネのヴィラには、ヨーロッパは無論、アジアの骨董や美術品も多数所蔵しているという。

そのアートビジネスで大成功を果した男は、2001年、事実状の引退宣言ともいえるアーリーリタイアを期に、ミラノからタイ・バンコクへと移住した。

そこで、クロコダイルのエキゾチックな魅力の虜(とりこ)となる。

クロコに魅せられた男の本物をみる審美眼は、元美術商というキャリアがしっかりと裏付けている。

しかし、モノ作りとなると、感覚だけでは到底済まない。

『感覚は無知の裏打ち』。

ファッションの世界において多少手痛い言葉であるが、小手先のセンスや感覚だけでファッションブランドを成立させることは100%不可能に近い。感覚とは最後の最後に頼るべきセンスの部分。まして、想像をベースにゼロから作り上げる意匠というのは、あくまで感覚先行でなくモノ作りありきで、デザイナー自身が知識と経験を重ねて、最も精度の高い本物にと近づけなくてはならない。

その上で改めて見る<ミルザッカニアン>のクリエイティブに一切の妥協はない。

なめし、仕様、縫製、そしてクロコ同士を編み込む特殊な製法など、エミール・ミルザッカニアンという男のプライドが恐ろしいほど深く注入され、ゆえに激しいパフォーマンス性を持つ。

インターナショナルのファッションの考え方に沿うのであれば、ファッションというのは本来、ジャンルやカテゴリーといった横軸ではなく、階級という意味でのクラスやシーンといった縦軸で常に捉えなくてはならない。

その上で、時にハイやローのアイテムを巧みにミックスしてコントラストを楽しんだり、意図的に遊びとしてドレススタイルにカジュアルの要素を組み込んだりと、ルールの中でツイストすることで、洒脱(しゃだつ)の域にと達する。

<ミルザッカニアン>のコレクションでいえば、例えばオールクロコのボンサック。

総じて、この海のものとも山のものともつかない未知なる類のバッグは、まさに「ロールスロイスでドリフトをカマす」如く。

ラグジュアリーとエキセントリックが異質にも同居し、五感に感じるのは存在でなく、むしろ気配。今にもゴロゴロと鳴らす喉笛の音や薄粗い吐息すら聞こえてきそうである。

まさに、呼吸する質感。

生を感じるアートピースの、その鎮座する様たるや威容以外の何ものでもない。

さて、幾らアートピースのような高尚を宿すブランドとはいえ、マーケットを完全に無視し、エゴイスティックに展開しているようなら、しごく面白みにかける。

が、事実、この<ミルザッカニアン>、実売の部分では、本当に評判がよく世界各国の富裕層の顧客たちから注文が絶えないという。

マスではなく、目の肥えた富裕層たち。

そう聞けば随分と納得できるマーケットだ。

きっと、彼ら富裕層の顧客たちは、エミール・ミルザッカニアンのデザインに、自分たちの欲求を満たす強いファッション性を感じているに違いない。

そう、その魅力はまさに強烈な悦を感じる魅惑の毒。

かくいう自分も、<ミルザッカニアン>のクロコクラッチの毒っ気たっぷりのムードを試したいがために、早速、スタイリングにカマすつもりだ。果たして、どんなコントラストの作用が生まれるか、今から大変楽しみなところだ。

Posted by  onodahitoshi

2013-10-21

Bergdorf Goodman.

「もうすぐバーグドルフ グッドマンのドキュメントが日本公開されます。バーグドルフといえば一度、訪れれば分かりますが、世界で一番といっていいほどテンションの上がるデパートです。2005年か2006年頃だったと思いますが、当時、日本ではまだ品薄だったトム・ブラウンの、その“バーグドルフ グッドマン”ネームのラベルが入ったオックスフォードシャツがただ欲しくて、友人と勇んで五番街のバーグドルフまで足を運んだこともありました。その頃は、確かマーク・ジェイコブズ×バーグドルフ・グッドマンなんてスペシャルなWネームのほか、モードブランドに混じってステューシーのやエンジニアードガーメンツがラインナップされていたことに大変興奮した覚えがあります。さらに、バーグドルフグッドマンのオリジナルをブルネロ・クチネリでOEM生産しているなんて、そんな洒落たウワサにすら歓喜したほどです。きっと、当時、マイケル・バスティアンがクチネリのイタリアオフィスをベースに活動していたせいだと思いますが、そのマイケル・バスティアンも、バーグドルフ グッドマンのディレクター時代に、トム・ブラウンのブレイクの立役者として名を馳せたことも記憶に新しいところです」。

「個人的に思い入れが強いのはバーグドルフグッドマンのシーズンカタログ。毎回、ファッション誌に匹敵するほどの素晴らしいクリエーションで、とにかくスタッフを含めキャスティングが豪華。このカタログの刺激を欲してニューヨークに渡航した際には、必ず立ち寄り、ショッピングより優先してカタログをピックアップするほどです。ティム・ウォーカーがスウェーデンでシュートしたファッションストーリー号など未だに宝物ですし、バウハウスをロケーションにしたシューティングなんて、もはや憧れそのものでしかありません。そして、昨年の号での、セリーヌのトラペーズから始まるフォトグラファー青木健二さんによるスティールカットなどもものすごく衝撃的でした。さて、実売が思い切り評価される昨今。商業的百貨店とはまた一線を画す、まるでアトラクションのようなデパートの、初のドキュメンタリー。今から期待でいっぱいです」。

Posted by  onodahitoshi

2013-10-11

Top of Mt.Everest.

デフォルメやファンタジーをメンズファッションのスタイリングにおいて、表現することはなかなか難しい。いつも気をつけるのは、ただエキセントリックだったり、ツイストし過ぎてしまったりして、いわゆるメンズとしてのリアルやオーセンティックのルールを無視したりぶち壊してしまったら、例えばパンクでもグランジでも、壊すことが良しとされるスタイルであっても、それはそれでだいぶ違う気がする。その点では本当にいつもスタイリングの上で苦労をするが、そんな苦労の追求もまたひたすらに面白かったり。さて、バリーのショールームにて。このブーツは、単なるパフォーマンスだけのコレクションピースではなく、60年前、人類初のエベレスト登頂成功時に実際に登山家が着用していたという、由緒正しき、歴史的アーカイブの復刻意匠。トナカイの毛に5層のレザーソールは、当時と変らず製作を手掛けたドイツの工房製で、そんなドラマティックな背景もずしりと心に響く。通常のこの手のアイテムは、企画物として店頭に出回らない参考商品的な扱いになるが、バリージャパンではオーダーとして展開。メンズが理想とすべきデフォルメとは、まさにこんなアイテムではないのか、と思わず賛同。本当に傑作的な意匠だ。

Posted by  onodahitoshi

2013-10-10

Boardwalk Empire.


「バブル期入行の行員が主役のドラマ「半沢直樹」の大ブーム。その視聴率から、さすがにすごい影響力を感じますが、一方、(タイムラグはありますが)海の向こうアメリカのドラマでは、20’sの禁酒法時代を描いたドラマ「ボードウォークエンパイア」の衣裳が、映画に負けないとしてものすごく話題となっていたようです。確かに前枠の「マッドメン」のアメリカンサックスーツを始めとする60’sのムードも完璧だったのですが、アメリカンファッションを代表するパワー溢れるクロージングスタイルであるスコット・フィッツジェラルドの世界そのままの20’sムード、それをこなす劇中のマイケル・ピットも、またすこぶる痺れます」。


「さて、件のマイケル・ピット。ガス・ヴァン・サントの映画「ラストデイズ」のカート・コバーンなど濃い配役もありますが、ここ最近は抜群にこのキャンペーンの印象が強いです。こういったウイットに富んだモデルキャスティングの妙は、さすがプラダといえます」。

Posted by  onodahitoshi

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